人材確保・育成

工業高校における2級施工管理技術検定(学科試験)実施の現状|ケース2 仙台市立仙台工業高等学校

建築科 斎藤 広通先生
土木科 鰹谷(かつや) 博文先生


仙台市立仙台工業高等学校

生徒のやる気を引き出す、教材開発と言葉掛け

 


 
仙台市立仙台工業高等学校
設 立:1896年   課 程:全日制・定時制
生徒数:681人   学科数:4学科
建設系:建築科 110人(男子91人女子19人)
    土木科 104人(男子95人女子9人)

 東日本大震災以後、復旧・復興を通じて地域住民の安全と安心を守る建設業の重要性が再認識されてきた。仙台市立仙台工業高等学校にも「建設業で日本を支えたい」という意欲のある生徒が多数入学してくる。
 建築科では2級学科試験を受験するのは希望者のみ。斎藤先生は独自の教材を開発して、生徒の学習を支えてきた。「いまの世代に合わせ、スマートフォンなどを使って自習できるよう、独自に過去問題集を作成しています。生徒に使い勝手などを聞きながら試行錯誤してきましたが、今はPowerPoint® スライドをPDF形式にし、問題をスクロールすれば解答と解説が見られるものがよいようですね。オンラインのストレージに保存してあり、生徒がいつでも見られるようにしています」。また授業では、専門雑誌から業界の話題をピックアップし、スライドにまとめて紹介している。視覚的な教材があると生徒はイメージしやすいし、学びたい、理解したいという気持ちにつながるそうだ。この指導法と先生方の努力で、合格率は20%以上向上した。

斎藤 広通先生
鰹谷 博文先生

 一方、土木科の鰹谷先生は「まずは気持ちを作ることから」と話す。「きっかけをつくって皆を盛り上げると、生徒たちはやる気を出して取り組んでくれます」。生徒たちが資格取得に意欲を示すようになったきっかけは、数年前、生徒が少なかったときに「全員で測量士補に合格しよう」との目標を立てたことだった。春休みと放課後に補習を行い、測量士補試験の直前には夜も補習。25人中合格者は15人だったが、不合格の生徒も含め全員に資格取得への手応えが残った。「勢いづいたのか、生徒たちが『2級学科試験もいけるんじゃないか』と言い出し、自主的に勉強を始めたのです。翌年からは、前年の取り組みを話して『おまえたちもできるよな?』と言うと『できます!』と言うようになりました。気持ちが乗ると力を出すタイプが多いですね」。なお、土木科は2級学科試験を全員受験する。
 学校を訪れる卒業生はできるだけ生徒に引き合わせ、建設会社などそれぞれの仕事の実際を語ってもらうようにもしている。取得した資格を生かして建設業界に就職する生徒は着実に増えている。

(2016年3月28日 仙台市立仙台工業高等学校にて取材)

 



 

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