基金の活動

技術者の継続教育 建築施工管理CPD制度の展開|建築施工管理CPD制度の現状

(一財)建設業振興基金 試験管理・講習部

 「建築施工管理CPD制度」は、建築施工管理を中心としたCPDプログラムを提供するものとして、一昨年、当基金が運営を開始したCPD制度です。主に建築施工管理担当技術者への継続教育の仕組みであり、技術者個人、技術者を抱える会社の評価を高めるものとして期待が寄せられています。
 さまざまな形で活用できる「建築施工管理CPD制度」の現状についてご紹介します。

 
『建築施工管理CPD制度』参加者状況
 (平成28年1月25日現在)
参加登録者数 2,038名
社内機能ID
登録企業数
94社
プロバイダーの
登録数
26機関
今年度の
プログラムの審査数
18機関 98プログラム
(うち、企業内研修
 61プログラム)

 本制度の特徴の一つは、【企業登録】というオプション機能を利用することで会社単位での利用が可能になり、社員の受講状況や取得単位数の管理、実績証明書の申請まで社員一括で管理ができる点です。
 またもう一つの特徴は、【プロバイダー登録】により講習会などのCPDプログラムの申請・実施ができる点です。制度参加者なら誰でも参加可能なCPDプログラムを実施できるほか、自社の企業内研修をCPDプログラムとして申請することも可能です。(企業内研修は年間上限:10CPD単位)

 
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講習会を開催したい方(制度参加者が誰でも参加可能な講習会)/企業内研修を認定プログラムとして申請したい方 ▼こちらも登録ください。
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事例1

過去の施工例に学ぶ 自社の研修をCPD認定プログラムに申請


 
関西建設工業㈱ 取締役 建築部長 出口 透
所在地 神戸市西区 / 資本金 8,000万円 / 事業内容 建築・土木事業 / 社員数 74名
出口氏

 関西建設工業㈱では、現場における失敗例や苦情などを技術者間で共有化し、自社の品質のつくりこみの方針・ルールの確認および施工基準を徹底するため、以下の研修を定期的に実施してきました。
 現在はこれを企業内研修としてCPD認定プログラムに申請し、活用しています。

●研修名称
 過去の施工例から学ぶ機会教育研修(直近2カ月の自社の施工事例より)
●概要
 設計・施工・工事管理業務に従事する技術者を対象に、業務を遂行する上で必要な施工管理分野の技術・知識を習得させることを目的とする。直近2カ月の新築工事、各種改修工事に関して、設計・施工、維持管理まで一貫して総合的な事業展開が可能となる知識の習得を目指すものである。
●内容
・当該現場担当者が講師を務め、過去の施工事例を解説
・研修参加者による質疑
・講師による設計・施工、工事管理上のポイントとなる留意事項の解説
・平成27年度 開催状況
 実施回数 5回(各2時間、CPD単位:2単位)
 参加人数 各6人程度

 
事例2

建築技術者向けのテキスト教材を作成し 新たなCPD認定プログラムを提供する


 
(一社)大阪建設業協会
 
『若手技術者のための知っておきたい現場管理』(以下、同シリーズ)『現場管理(仕上げ編)』『仮設計画』『鉄筋工事』『設備工事』、『事例に学ぶ 音の基礎知識』

 大阪建設業協会の常置委員会である建築委員会では、建設業界の技術水準のレベルアップに寄与するため、建築施工分野での品質に関する問題や、技術の改善および生産性の向上を目的とした調査・研究活動、法令や制度を含めた建築全般にかかわる諸問題に取り組んできました。
 同委員会では、テーマごとにテキスト教材を作成するため、その都度「マニュアル作成部会」を立ち上げています。テキスト教材は実際の現場監督の視点から建築現場における諸注意を編集した図面・写真入りのもので、建築技術者向けに特化して編集した実用的な内容となっています。このテキスト教材を使用し、協会会員企業の建築技術者向けの講習会も実施しています。講師もマニュアル作成部会から選定しており、施工事例や失敗事例といった実体験を交えながら解説することで技術の普及と事例の共有化を図るなど、実践的な講習会です。
 このテキスト教材および講習会の内容は、非常に優れていると外部からも高い評価をいただいています。昨年12月18日には京都府建築施工管理技士会が主催する講習会においてもこのテキスト教材を提供し、講師を派遣しました。

 
事例3

CPD認定プログラムとして、大阪建設業協会のテキスト教材を使った講習会を開催


 
京都府建築施工管理技士会  会長 田中 俊介
 
講習会の様子
田中会長

 近年、施工管理技士の施工能力の低下や技術力不足に起因する施工ミスは少なくありません。施工管理技士が知識を学び技術を磨き続けることは、適正な施工につながり、建築工事の品質の維持、ひいては地域社会を支えることにつながると言っても過言ではありません。
 「京都府建築施工管理技士会」は平成26年11月に発足、現在230名の会員が参加しています。これまで当技士会のCPD認定プログラムとしては、京都弁護士会から講師を招き、工事瑕疵や建築工事でのトラブルの法的問題に関する講習などを行ってきましたが、実践的な技術をテーマとしたプログラムが少ないことが課題となっていました。そのような折に、大阪建設業協会が技術者向けに作成されたテキスト教材と講習会の評判を聞いたのです。ぜひとも当技士会でも講習会を実施できないかと相談したところ、同協会の建築委員会、現場管理マニュアル作成部会の2人を紹介いただき、昨年12月18日京都建設会館にて、京都府の若手の施工管理技士を対象にしたCPD4単位認定の講習を実施することができました。
 この講習会では、『若手技術者のための知っておきたい現場管理』をテキスト教材として、現場管理における必要不可欠な基礎知識を学びました。当技士会でも初の取り組みであったため、技士会会員だけでなく京都府建設業協会にも協賛いただき、広く参加者を募集したところ、計40名の参加者がありました。アンケートでは参加者からの評判も非常によく、今後とも継続的に開催していきたいと考えています。
 国土交通省近畿地方整備局では、昨年から、福井県を加えた7府県の建設業協会との建築分野における意見交換を始めています。今後、このような意見交換を活発化させるにあたり、当技士会のような建築施工管理の技術者団体は重要と考えております。当技士会に続き、今後、全国にこのような建築施工管理技士会が設立されることを期待しています。基金にはぜひバックアップをお願いいたします。

 
基金の取り組み
(一財)建設業振興基金 試験研修本部 試験管理・講習部研究次長 山本 英史
 
ビデオ教材(サンプル動画)

 当基金では、地域によって技術者の講習会を受講する機会が異なることから、大阪建設業協会と連携し、同協会のテキスト教材を使用した講習会の様子を映像に収め、これをビデオ教材として広く普及させることを計画しています。まずは、同テキストを利用した京都府建築施工管理技士会の「現場管理」に関する講習会をビデオ教材化する予定としており、今後さらに拡充したいと考えています。

 



 

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