人材確保・育成

建設産業担い手確保・育成コンソ ーシアム

未経験者でも育てればいい 業界に人を呼び込むチャンス

三田建設技能研修センター
(職業訓練法人 近畿建設技能研修協会)

 近畿地区の人材育成を担う兵庫県の三田建設技能研修センター。本年度は厚生労働省の「地域人づくり事業」を活用し、10名の未就職者などの受入れ訓練をしている。一緒に訓練に参加し1日体験させてもらった。

 


三田建設技能研修センター

 同センターは、昭和57年に建設技能者の雇用安定を目的に、雇用促進事業団(当時)により設置された。現在、兵庫県から土地と建物の貸与を受け、近畿建設技能研修協会が運営している。近畿地区の8団体、事業主586社からなる正会員と、賛助会員2社の計8団体、588社が、規模や完工高分に応じて負担する会費と、助成金によって運営している。近畿地区一体となった人材育成の仕組みがここにはある。
 施設には日に36名まで宿泊できる寮も完備され、実習場までは車で10分程。これまで、全国へ52,000名の修了生を送り出しており、近畿地区の教育訓練の拠点として重要な役割を担う。従来は入職者を対象とした技能実習や検定も行っていたが、今年度は厚生労働省の「地域人づくり事業」に注力し、これまでも豊岡建設技術者養成センターから5名、また(一社)徳島県建設業協会からも3名の研修生を、OFF-JTの場として受け入れてきた。10月からは業界未経験の県内失業者10名を研修生に受け入れた。型枠・鉄筋実習など13講習を経て建設業への就業に結び付ける狙いだ。


1人の遅刻が工程を遅らせる。遅刻は即退場と厳しい指導

 1日体験として参加した当日は、小型移動式クレーン運転技能講習が行われた。午前中はクレーン操作の危険性を学ぶ座学、午後はクレーン標準合図法についての技能実習。午後の実習は「指示のミスが大きな事故を引き起こす、正確な指示が出せるよう手による合図だけではなく、声を出して伝えることも忘れないように」と教官から指導をもらって始められた。
「ジブ上げ! ジブ上げ!」と声を上げ、親指を上に突き上げる研修生の合図に合わせ、操作レバーをゆっくり引くと、クレーンが上がっていく。自分の思いのままに動かせるような気がして面白い! こういった合図を15種類覚え、正確な合図を送れるようにさせるのだから大変である。
 ここで学んだ合図法は、玉掛け技能講習の際クレーンでの荷運びに使うものだ。実習を1つ受けただけでは、現場で活かせない。全13講習を受講・習得し仕事の流れを覚えて初めて実作業に活かせるのである。

「受け入れ機関として責任をもって送り出したい


研修を通して興味が高まり建設企業に就職する人も多いそうだ

 講習プログラムは業界のニーズに合わせ同センターで計画され、講師の教授法も標準化されている。講師はコンサルや建設企業のOBだ。機械講習はメーカーや時には地元ゼネコンにも協力を要請するという。メーカーとの協力体制が継承され、講師の派遣要請が潤沢に回ればよいが、企業も社員を削減しており、広い知識を持った経験者は減りつつある中、講師不足をいかにして補うかも喫緊の課題となっている。
「地域人づくり事業」では、受講を終えた研修生は、自身で職を探さねばならない。同センターの依藤所長は「技能を習得させるだけではなく、責任をもって職と接続できる仕組みを作ってあげたい」と話す。10名の研修生は12月22日まで研修を受け、ここで学んだ技術を活かすために年末年始の就職活動が始まるそうだ。

 

 



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