人材確保・育成

建設産業における労働者賃金の現状

"自らの努力"で給料アップを実現できる仕組みが必要

株式会社 鈴木組 代表取締役 鈴木 央 氏

 全産業労働者の平均年収が約530万円といわれる中、建設産業における技能労働者の賃金の実態は、非常に厳しいものとなっています。そして、それが本産業への若者の就労意識を減退、あるいは喪失させているといっても過言ではありません。そこで今回の特集では、本産業に関係が深い有識者、団体幹部の方などに、技能労働者の賃金の現状と課題、今後の展望などを伺いました。

事例1|企業/とび・土工工事業|


職人のままでは給与にも上限がある 将来に向け指導員や職長の道を示唆



若手新入社員は自社の訓練校に配属 鈴木職業訓練校

 創業は江戸時代。初代会長の「人は育てなきゃいけない」という理念に注力し続けてきました。㈱大林組の協力会社として、建設現場における仮設工事全般を請け負い始め、平成6(1994)年に企業内教育機関「鈴木職業訓練校」を開校。「施工計画」「施工管理」「自主的施工」と一貫した仮設工事を目指し、各部門の第一線で活躍できる仮設技能工の育成に努めています。
 社員約100名の公平性を守れるように、基本給は勤続年数による一律スライド制を採用しています。給与の差額は主に手当の上乗せによるもの。各種資格手当、職長手当(ABCランク)などです。他に大林組の認定によるスーパー職長手当という当社支給給与外の収入手段もあります。
 とび工の場合は35歳前後が労務単価の上限。キャリアが長く、職人として腕がよくても1人でできる仕事量には限度があります。だから経験を積んだ職人には、指導員や職長といった多くの人を動かす管理者への道を提示するのです。会社は社員に常に向上心を持つことを奨励し、“自らの努力で”給与アップにつなげていくよう導くわけです。そのため、資格取得の費用は支給、試験も出勤扱いにします。
 近年は安定した雇用環境を求めて入職する30代の作業員も多く、そうした中途採用者の方には日給月給制にて採用し、能力・技術手当を用いるなど別の給与体系を設けています。

▶ 企業内教育機関「鈴木職業訓練校」で毎年多くの優秀な人材を育成/経営者インタビュー | 鈴木 央さん(東京都)




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