人材確保・育成

建設産業における労働者賃金の現状

しっかり雇用する覚悟で責任を持てる業界であることが大切

株式会社 ダイニッセイ 代表取締役 池田 愼二 氏

 全産業労働者の平均年収が約530万円といわれる中、建設産業における技能労働者の賃金の実態は、非常に厳しいものとなっています。そして、それが本産業への若者の就労意識を減退、あるいは喪失させているといっても過言ではありません。そこで今回の特集では、本産業に関係が深い有識者、団体幹部の方などに、技能労働者の賃金の現状と課題、今後の展望などを伺いました。

事例2|企業/鉄筋工事業|しっかり雇用する覚悟で責任を持てる業界であることが大切


雇用を守るための賃金を約束してほしい



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 設立は昭和48年、鉄筋工事業者として施工請負を行っています。賃金は、基本給(経験年数や技術力を総合的に評価)に、資格手当や職長手当を付けるという体系です。社員70名(平成27年1月現在)は、全員月給制です。
 建設業の社会保険未加入問題が取り沙汰されるようになり、元請から「工事ができないので社会保険に加入してほしい」と要望されるケースも増えました。当社では標準見積書で社会保険料を計上していますが、支払ってもらえない場合もあります。昔から社会保険に加入してきた当社のような下請は自社で負担していますが、厳しいのが現状です。支払ってもらえれば人も雇用しやすくなるという業者もおられるでしょうし、業界への就職を希望する人が増えるだろうという期待もあります。
 賃金体系の充実も大事ですが、広報など多方面で展開しないと難しいのが業界の実態です。現在、千葉県鉄筋業協同組合の理事長として組合員とともに、工業高校生へ「ものづくり人材育成事業」を展開しています。鉄筋組立講習を行う活動を通じて、学生の建設業への見方が徐々に変わりつつあるのを実感しています。当社には、講習をきっかけに毎年数名が入社しています。協力していただいている組合員の会社も同様です。
 当社は、一度入社した方々には最後まで責任を持って育て上げています。




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